中国の2村における血中フッ素濃度とIQ低下
QuanYong Xiang(江蘇省防疫センター、南京)、上海医科大学 ほか
出典:Environmental Health Perspective 2010 12/17
発行:NIEHS (National Institute of Environmental Health Science)
NIH (National Institute of Health), U.S. Department of Health and
Human Service
上記の政府刊行物に掲載された意義は大きい。
概要
1. 背景:動物実験ではフッ素暴露量と脳中フッ素量の関連が明らかにされている。
ヒトの研究は高濃度の飲料水中フッ素濃度とIQ低下を示唆している。
血清中フッ素濃度と子供のIQとの関係を示すデータは限られている。
2. 目的:この研究は血清中フッ素濃度と子供のIQとの関係を調べるために実施された。
3. 方法:中国、江蘇省の2村から512名(18〜13才)の血液サンプルを採取し、血清中フッ素濃度を測定(ミニタイプのフッ素イオン電極)し、IQ検査(CRT-RC)を行った。
4. 結果:Wamiao村(フッ素中毒地区)の平均血清中フッ素濃度は0.081±、0.019mg/Lで、平均IQは92.02±、0.009m/L、Xinhuai村(対照地区)の平均血中フッ素濃度は0.041±0.009ppm,平均IQは100.41±13.21であった。
飲料水中フッ素濃度はWamiao(2.47± 0.79mg/L)、Xinhuai(0.36± 0.15mg/L)であった。血清中フッ素濃度とIQの回帰係数は−0.613(Wamiao)、0.054(Xiuhuai)であった。年齢、性の補正後に血清中フッ素濃度とIQは負の関係にあり、IQ80以下でのオッズ比は<0.05mg/Lで1、0.05-0.08mg/Lは2.22、0.08mg/Lが2.48であった。
また知能に影響を与える頭部外傷、鉛、ヨウ素の摂取量などの検討を行った。
IQは家庭の収入、両親の教育程度とは無関係であった。また血清中フッ素濃度と飲料水中フッ素濃度は正の関係にあった。
5. 結論:飲料水中フッ素濃度は血清中フッ素濃度と強く関係しており、高度のフッ素暴露は子供の知能に影響を与える。