9.フッ素洗口は医療行為

 医療行為の一般的定義

 @人体に危害を及ぼし、または、そのおそれ(侵襲性)があるために

 A患者の同意のもとで

 B医師・歯科医師が治療(予防)を目的として

 C適切な技術水準のもとで行う行為

これに照らし合わせると、集団フッ素洗口は下記のように「医療行為に」合致するといえます。

 @侵襲性のあるフッ化ナトリウムという化学物質を使っている。

 A洗口するかどうか希望の有無を確認している。(インフォームド・コンセントは行われていない)

 B公衆衛生的立場から予防を目的としている。

 Cフッ素洗口を実施するには専門的知識と技術が必要である。


 養護教諭の業務ではないフッ化物洗口

 大半の養護教諭は医療行為と考えています。このようなことをして良いと養成はされておらず、本来業務に含まれないのが従来からの一般的考え方なのです。
 学校では薬局などで売られている一般医薬品の風邪薬や腹痛の薬さえ児童生徒に投薬しなくなっています。熱が出たからと言って風邪薬を投薬できないのです。また、用意もしていません。保護者に電話して帰宅させるようになっています。けがの場合も応急処置をして保護者に連絡します。救急車を手配する場合でも搬送先病院は保護者の意向を確認するのです。治療に結びついたりすることは保護者の判断なのです。

 仮にフッ化物洗口が医療行為に該当しないとしても、これが一般化されるなら、行政は医師、歯科医師の処方の元に薬剤師を介して養護教諭に医薬品でないものを医薬品のように自由に使わすことができることになります。
 その内にメタボ対策として行政が医師の処方と薬剤師を通じて養護教諭が予防薬を投与しかねないことが起きるかもしれません。


 試薬使用の問題

 今、大きな問題となるのは洗口の薬剤です。市販の洗口医薬品は高価です。最近では試薬と言われる非常に安価なものを使い始めています。具体的にはフッ化ナトリウム試薬1級、特級です。これは従来では研究などに使われる化学物質です。

許可・承認を取得した「医薬品」が有るにも関わらず、薬事法上の許可・承認を取得していない「試薬」は医用目的に使用すべきではありません。まして教育機関において使用することは問題です。薬事法の趣旨・目的からも逸脱している「試薬」の使用は、安全性、教育上の問題もあり、改善を要する問題と考えられます。